松脂の色味と粘度の関係
ヴァイオリンなど擦弦楽器の演奏において「松脂」は弓毛の引っ掛かりをつくるために必ず塗られます。
普段、何気なく使っていることも多いアイテムですが、松脂の「粘度」によって引っ掛かり方が変わってくることに注目されたことはありますか?
具体的には、粘度が高いしっとりとした松脂は、低音域の鳴りが増すような感覚に、反対に粘度が低いさらさらとした松脂は、高音域の鳴りが増長するような感覚になることが一般的です。
低音域を担うチェロ・コントラバスの松脂は、ヴァイオリンのものに比べ粘度が高いものが用いられています。弦の表面により摩擦を生じさせて、振幅を大きくすることで大きな音量が得られるためです。
松脂の粘度は、色味でおおまかに知ることができます。粘度が高いものは濃い色に、粘度の低いものは薄い色になっています。ダークブラウンから薄い黄色まで、松脂の種類に応じて様々です。
ヴァイオリンは高音楽器ですので、輝かしい音色が求められます。ベルナルデルなど薄い色味の松脂は高音が際立つと思います。反対にギヨームなどの濃い松脂は低音が増長されるため、より深い音色が必要な場合は合致すると思います。
弦との相性もあるため、色々と試されてみるとよろしいかと思います。生徒の皆さまには、まずベルナルデルをおすすめして、弓毛の弦への引っ掛かり感が足りないとお感じの際には、ギオームをおすすめすることが多いです。
ベルナルデル (左) とギヨーム (右) の松脂
季節に応じた使い分け -選定方法-
ヴァイオリンは気候によっても鳴り方が変わりやすい繊細な楽器です。
例えば、冬季の乾燥した低湿気味の気候ではしっとりとした松脂を、梅雨時などの高温多湿の気候ではさらさらとした松脂を合わせるなど、季節に応じて使い分けることも有効と感じます。
※楽器や弦と松脂の相性を判断する際には、技巧的フラジオレット(1の指を押さえて4の指を軽く触れる)が弾ける方は、相性が合うと音の鳴りが増す傾向があるため、判断方法の一つとして生徒の皆様にもお伝えすることがあります(実音での判断が案外難しく、わかりにくいという場合があります)。
松脂は引っ掛かりの良さを取ると音がこもりがちになったり、音の抜け感を重視すると低弦が十分に鳴らないということがあり得ます。弾きやすさや音質・音量が十分かどうかという部分は、演奏技術の習得とも関係性がありますので、たかが弦・松脂ではなく注意深く選定していく必要があると感じています。
最終更新 2023年7月15日
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ヴァイオリンレッスンについて松脂の色味と粘度の関係
ヴァイオリンなど擦弦楽器の演奏において「松脂」は弓毛の引っ掛かりをつくるために必ず塗られます。
普段、何気なく使っていることも多いアイテムですが、松脂の「粘度」によって引っ掛かり方が変わってくることに注目されたことはありますか?
具体的には、粘度が高いしっとりとした松脂は、低音域の鳴りが増すような感覚に、反対に粘度が低いさらさらとした松脂は、高音域の鳴りが増長するような感覚になることが一般的です。
低音域を担うチェロ・コントラバスの松脂は、ヴァイオリンのものに比べ粘度が高いものが用いられています。弦の表面により摩擦を生じさせて、振幅を大きくすることで大きな音量が得られるためです。
松脂の粘度は、色味でおおまかに知ることができます。粘度が高いものは濃い色に、粘度の低いものは薄い色になっています。ダークブラウンから薄い黄色まで、松脂の種類に応じて様々です。
ヴァイオリンは高音楽器ですので、輝かしい音色が求められます。ベルナルデルなど薄い色味の松脂は高音が際立つと思います。反対にギヨームなどの濃い松脂は低音が増長されるため、より深い音色が必要な場合は合致すると思います。
弦との相性もあるため、色々と試されてみるとよろしいかと思います。生徒の皆さまには、まずベルナルデルをおすすめして、弓毛の弦への引っ掛かり感が足りないとお感じの際には、ギオームをおすすめすることが多いです。
ベルナルデル (左) とギヨーム (右) の松脂
季節に応じた使い分け -選定方法-
ヴァイオリンは気候によっても鳴り方が変わりやすい繊細な楽器です。
例えば、冬季の乾燥した低湿気味の気候ではしっとりとした松脂を、梅雨時などの高温多湿の気候ではさらさらとした松脂を合わせるなど、季節に応じて使い分けることも有効と感じます。
※楽器や弦と松脂の相性を判断する際には、技巧的フラジオレット(1の指を押さえて4の指を軽く触れる)が弾ける方は、相性が合うと音の鳴りが増す傾向があるため、判断方法の一つとして生徒の皆様にもお伝えすることがあります(実音での判断が案外難しく、わかりにくいという場合があります)。
松脂は引っ掛かりの良さを取ると音がこもりがちになったり、音の抜け感を重視すると低弦が十分に鳴らないということがあり得ます。弾きやすさや音質・音量が十分かどうかという部分は、演奏技術の習得とも関係性がありますので、たかが弦・松脂ではなく注意深く選定していく必要があると感じています。
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