材質による比重の違い
ヴァイオリンのフィッティングパーツ(ペグ・テールピース・顎当て・エンドピンのセット)には、様々な材質の木材が使用されます。
代表的なものでは、エボニー・ボックスウッド・ローズウッド、少し変わったものではフェルナンブーコなどが用いられることがあります。それぞれ木材の気乾比重が異なり、演奏時の音色や弾き心地・演奏感にも違いがあります。元々装着されているものを使われる場合が多いと思いますが、音調整の観点から交換されることも有効と考えます。実際に同一の楽器で交換した経験などから、材質と音色の関係について書かせていただきたいと思います。
エボニー
いわゆる黒檀で、比重は1.2程度とされています。指板や弓のフロッグなどにも使用される木材で、硬さと粘りを兼ね備えています。加工がしやすく強度的にも優れる材質です。上質の材は漆黒で、磨くと美しい光沢が出ます。低質材でも強度の面では、最も安心できる材質と思います。
パーツとして用いた場合、音を収束させ落ち着かせる傾向があります。広がり感のある音の楽器や甲高い音の楽器などに相性が合うと言われています。新作楽器との相性も良好な材質です。
ボックスウッド
和名では柘植です。比重は0.9程度とされています。削ったままの色味は白っぽいため、硝酸で焼くなどして濃い茶色に着色されています。低品質の材料では強度が不足するため、パーツとしては不向きと思います。上質の材料では軽さと強度を兼ね備えているため、好んで用いられます。
使用感としては、抜けのよい明るい音色と感じます。楽器そのものの良さを引き出し、軽量のため演奏時の負担軽減の効果もあると思います。音色は柔らかく広がるように鳴る傾向にある材質で、オールドの楽器に比較的よく装着される傾向にあります。
ローズウッド
紫檀と呼ばれる材質です。比重は1.0程度とされています。字のごとく少し紫がかった材質で、縞模様が見えるのが特徴です。エボニーとボックスウッドの中間程度の比重で、演奏時に感じる特性や音色も中間の印象です。
どの材質にも言えることですが、より硬く密度の詰まった材料が上質とされます。Gerald Crowson(英) 社のパーツが高価ですが、最上質の素材が使われていると感じます。
フェルナンブーコ
弓材に最適とされる材質で、近年ではフィッティングパーツとして使われることもあり、Les Bois D'harmonie (仏) やBogaro&Clemente (伊) などのメーカーから発売されています。比重は1.2程度と高めです。
黒檀ほど落ち着きを与える傾向のパーツではなく、柘植材にかっちりとした音の輪郭を加えるような感覚がありました。以前使用していた楽器で相性がよく、長く使用していました。
ローズウッドのフィッティングパーツ
音調整時の変化率としての体感は、テールピースと顎当てが同程度で最も高く、エンドピンとペグは若干変わる程度で顕著な変化は感じ取られませんでした。
テールピースに関しては、テールロープの材質やアジャスター、顎当てに関しては、形状や金具の材質によっても音色・演奏感に与える変化はあります。 下記の関連ページもよろしければご覧いただけたらと思います。
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ヴァイオリンのフィッティングパーツ(ペグ・テールピース・顎当て・エンドピンのセット)には、様々な材質の木材が使用されます。
代表的なものでは、エボニー・ボックスウッド・ローズウッド、少し変わったものではフェルナンブーコなどが用いられることがあります。それぞれ木材の気乾比重が異なり、演奏時の音色や弾き心地・演奏感にも違いがあります。元々装着されているものを使われる場合が多いと思いますが、音調整の観点から交換されることも有効と考えます。実際に同一の楽器で交換した経験などから、材質と音色の関係について書かせていただきたいと思います。
エボニー
いわゆる黒檀で、比重は1.2程度とされています。指板や弓のフロッグなどにも使用される木材で、硬さと粘りを兼ね備えています。加工がしやすく強度的にも優れる材質です。上質の材は漆黒で、磨くと美しい光沢が出ます。低質材でも強度の面では、最も安心できる材質と思います。
パーツとして用いた場合、音を収束させ落ち着かせる傾向があります。広がり感のある音の楽器や甲高い音の楽器などに相性が合うと言われています。新作楽器との相性も良好な材質です。
ボックスウッド
和名では柘植です。比重は0.9程度とされています。削ったままの色味は白っぽいため、硝酸で焼くなどして濃い茶色に着色されています。低品質の材料では強度が不足するため、パーツとしては不向きと思います。上質の材料では軽さと強度を兼ね備えているため、好んで用いられます。
使用感としては、抜けのよい明るい音色と感じます。楽器そのものの良さを引き出し、軽量のため演奏時の負担軽減の効果もあると思います。音色は柔らかく広がるように鳴る傾向にある材質で、オールドの楽器に比較的よく装着される傾向にあります。
ローズウッド
紫檀と呼ばれる材質です。比重は1.0程度とされています。字のごとく少し紫がかった材質で、縞模様が見えるのが特徴です。エボニーとボックスウッドの中間程度の比重で、演奏時に感じる特性や音色も中間の印象です。
どの材質にも言えることですが、より硬く密度の詰まった材料が上質とされます。Gerald Crowson(英) 社のパーツが高価ですが、最上質の素材が使われていると感じます。
フェルナンブーコ
弓材に最適とされる材質で、近年ではフィッティングパーツとして使われることもあり、Les Bois D'harmonie (仏) やBogaro&Clemente (伊) などのメーカーから発売されています。比重は1.2程度と高めです。
黒檀ほど落ち着きを与える傾向のパーツではなく、柘植材にかっちりとした音の輪郭を加えるような感覚がありました。以前使用していた楽器で相性がよく、長く使用していました。
ローズウッドのフィッティングパーツ
音調整時の変化率としての体感は、テールピースと顎当てが同程度で最も高く、エンドピンとペグは若干変わる程度で顕著な変化は感じ取られませんでした。
テールピースに関しては、テールロープの材質やアジャスター、顎当てに関しては、形状や金具の材質によっても音色・演奏感に与える変化はあります。 下記の関連ページもよろしければご覧いただけたらと思います。
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