顎当ての形状による振動特性
ヴァイオリンの顎当て(Chinrest)は演奏時の構え易さのみならず、「音質」や「低音・高音」のバランスにも影響を与えます。
フィット感・構え易さなど実用性の部分を中心に考えられることが多いパーツですが、実振動を最も担う表板に接するため、形状によって音色にも少なからず変化を与えます。
今回のコラムでは、一般的に用いられる形状の種類をいくつか挙げ、形状と音質の関係を中心に書かせていただきたいと思います。
Guarneri モデル -テールピースをまたぐタイプ-
テールピースをまたぐ「Guarneri:グァルネリ型」の顎当ては最も使用されているスタンダードな形状です。
顎当ておよび脚部のコルクと表板が接する楽器内部は、ローワーブロックという補強材の位置になるため、板の振動を止めにくい点が特徴です。音色の面では、自然な振動を維持するため音の抜けが良く、4弦のバランスが取れている楽器ないしは、高音がよく鳴る「高音志向」の楽器と相性がよい傾向にあると言われます。
グァルネリ型の顎当て
このタイプの顎当てはグァルネリ型を標準として、あごを乗せるカップ部分の形状に丸みを持たせやや小さめにした「ルジェリ」、カップに深さを持たせ構えた時に顎の引っ掛かりがよい「ストラド」などがあります。また、肩当てを使わない場合によく使用される「フレッシュ」もこのタイプの製品です。
Teka モデル -片側を留める-
テールピースをまたがず、低弦側に取り付ける「Teka:テカ型」などの顎当ても楽器によっては相性がよい場合があり、好んで使用されることがあります。このタイプの顎当ては、楽器内部のローワーブロックがない部分も止めることになるため、振動の面では、上記のオーバーテールピース型の製品よりロスがあります。
しかしながら、「低音志向」で低弦の広がり感が多い楽器に使用すると、低弦は収束感のあるタイトな音質に、高弦は音量感を上げることができると感じます。弦の選定においても言えることですが、ヴァイオリンの低弦と高弦のバランスは「対の関係」にあり、一方を抑えると他方が増強されます。
ハイテカ型の顎当て
このタイプの顎当てには、高さが低くサイズが小さめな「カウフマン」、テールピースの上にでっぱりを作った「ドレスデン」、大きめのサイズの「ベルゴンツィ」などがあります。なお、テカ型は高さが2種類あり(High / Low)、構え方の好みから選択できるようになっています。
金具の材質によるグレード
クローソン社(イギリス)の製品には、金具の材質として「ニッケル・シルバー・チタン」が用いられていますが、振動伝導効率ではチタン素材が最も優れているとし、上位のラインナップとなっています。チタン素材は、重量が軽量なため演奏時の負荷が少なく、錆びないため管理が容易という利点もあると感じます。
また木部(カップ部分)の材質に関しても、音質や演奏感には少なからず影響があります。
これらにつきましては、フィッティングパーツ(顎当て・テール―ピース・ペグ・エンドピンのセット)と同様の傾向となりますので、次回以降に書かせていただきたいと思います。
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ヴァイオリンレッスンについて顎当ての形状による振動特性
ヴァイオリンの顎当て(Chinrest)は演奏時の構え易さのみならず、「音質」や「低音・高音」のバランスにも影響を与えます。
フィット感・構え易さなど実用性の部分を中心に考えられることが多いパーツですが、実振動を最も担う表板に接するため、形状によって音色にも少なからず変化を与えます。
今回のコラムでは、一般的に用いられる形状の種類をいくつか挙げ、形状と音質の関係を中心に書かせていただきたいと思います。
Guarneri モデル -テールピースをまたぐタイプ-
テールピースをまたぐ「Guarneri:グァルネリ型」の顎当ては最も使用されているスタンダードな形状です。
顎当ておよび脚部のコルクと表板が接する楽器内部は、ローワーブロックという補強材の位置になるため、板の振動を止めにくい点が特徴です。音色の面では、自然な振動を維持するため音の抜けが良く、4弦のバランスが取れている楽器ないしは、高音がよく鳴る「高音志向」の楽器と相性がよい傾向にあると言われます。
グァルネリ型の顎当て
このタイプの顎当てはグァルネリ型を標準として、あごを乗せるカップ部分の形状に丸みを持たせやや小さめにした「ルジェリ」、カップに深さを持たせ構えた時に顎の引っ掛かりがよい「ストラド」などがあります。また、肩当てを使わない場合によく使用される「フレッシュ」もこのタイプの製品です。
Teka モデル -片側を留める-
テールピースをまたがず、低弦側に取り付ける「Teka:テカ型」などの顎当ても楽器によっては相性がよい場合があり、好んで使用されることがあります。このタイプの顎当ては、楽器内部のローワーブロックがない部分も止めることになるため、振動の面では、上記のオーバーテールピース型の製品よりロスがあります。
しかしながら、「低音志向」で低弦の広がり感が多い楽器に使用すると、低弦は収束感のあるタイトな音質に、高弦は音量感を上げることができると感じます。弦の選定においても言えることですが、ヴァイオリンの低弦と高弦のバランスは「対の関係」にあり、一方を抑えると他方が増強されます。
ハイテカ型の顎当て
このタイプの顎当てには、高さが低くサイズが小さめな「カウフマン」、テールピースの上にでっぱりを作った「ドレスデン」、大きめのサイズの「ベルゴンツィ」などがあります。なお、テカ型は高さが2種類あり(High / Low)、構え方の好みから選択できるようになっています。
金具の材質によるグレード
クローソン社(イギリス)の製品には、金具の材質として「ニッケル・シルバー・チタン」が用いられていますが、振動伝導効率ではチタン素材が最も優れているとし、上位のラインナップとなっています。チタン素材は、重量が軽量なため演奏時の負荷が少なく、錆びないため管理が容易という利点もあると感じます。
また木部(カップ部分)の材質に関しても、音質や演奏感には少なからず影響があります。
これらにつきましては、フィッティングパーツ(顎当て・テール―ピース・ペグ・エンドピンのセット)と同様の傾向となりますので、次回以降に書かせていただきたいと思います。
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