水平方向の構え:弓が指板方向に滑らないように
ヴァイオリンの構え方として、どのようなフォームが効率よく、また無理のない演奏が実現できるでしょうか?
今回は、楽器の水平方向と傾きの角度について書かせていただきます。
まず、床と水平方向の構え方については、極力楽器が下がらないようにすることが大切です。
具体的には「弦と床が水平程度」になるような角度で構えるのが理想的です。楽器の胴体部分が床に対して平行なとき、ネックは駒より下がっている位置関係にあるので、これではまだ不十分な角度です。
楽器が下がっている状態、床に対して弦が下がっていく方向の角度の状態では、弓は指板方向にずれていくことになります。これは例えるなら、急勾配の下り坂に乗っているような状態で、重力に負けて思ったような動作がしにくくなるのは想像に難くないと思います。擦る位置だけでなく弓自体の重さ(約60g)や腕の重みも滑ってしまい、弦にそれらが効率的に伝わらなくなってしまうのです。
弦と床が水平程度の角度であれば、指板方向へと滑る力は働かなくなり、弓で擦る弦の位置を微妙に調整したりといったコントロールも容易になります。
ヴァイオリンは弓と弦の接点「サウンドポイント」を変えて演奏することにより、多彩な音色を表現できる楽器です。右手の技術との兼ね合いとしても、楽器の構え方は重要となってきます。
楽器の傾き:各弦での理想的な角度
また、構え方として「楽器の傾き」についても考える必要がありますが、これは各弦により理想的な角度が異なります。
具体的には、E線を弾く際は床と水平に近い形で平らに構えると、弓が弦に支えられているような感覚で、弓自体の重さや腕の重みが伝わりやすくなります。
反対に、G線では傾き加減を増やし多めに傾けることで、それを感じることができるようになります。4弦に渡って頻繁に弓が行き来するような移弦を伴うパッセージを演奏するときは、これらの中間をとって中庸程度の傾き具合をイメージすると無理なく演奏できると思います。
ヴァイオリンの演奏においては、いかに弦を効率よく振動させるかということが大切です。その部分を考えていくと、構え方などの「基本姿勢」がどうあるべきかが定まってくるように思います。
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<演奏時の直接音と反響音
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拍感とフレーズ弓の持ち方 -基本的な発想-
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ヴァイオリンレッスンについて水平方向の構え:弓が指板方向に滑らないように
ヴァイオリンの構え方として、どのようなフォームが効率よく、また無理のない演奏が実現できるでしょうか?
今回は、楽器の水平方向と傾きの角度について書かせていただきます。
まず、床と水平方向の構え方については、極力楽器が下がらないようにすることが大切です。
具体的には「弦と床が水平程度」になるような角度で構えるのが理想的です。楽器の胴体部分が床に対して平行なとき、ネックは駒より下がっている位置関係にあるので、これではまだ不十分な角度です。
楽器が下がっている状態、床に対して弦が下がっていく方向の角度の状態では、弓は指板方向にずれていくことになります。これは例えるなら、急勾配の下り坂に乗っているような状態で、重力に負けて思ったような動作がしにくくなるのは想像に難くないと思います。擦る位置だけでなく弓自体の重さ(約60g)や腕の重みも滑ってしまい、弦にそれらが効率的に伝わらなくなってしまうのです。
弦と床が水平程度の角度であれば、指板方向へと滑る力は働かなくなり、弓で擦る弦の位置を微妙に調整したりといったコントロールも容易になります。
ヴァイオリンは弓と弦の接点「サウンドポイント」を変えて演奏することにより、多彩な音色を表現できる楽器です。右手の技術との兼ね合いとしても、楽器の構え方は重要となってきます。
楽器の傾き:各弦での理想的な角度
また、構え方として「楽器の傾き」についても考える必要がありますが、これは各弦により理想的な角度が異なります。
具体的には、E線を弾く際は床と水平に近い形で平らに構えると、弓が弦に支えられているような感覚で、弓自体の重さや腕の重みが伝わりやすくなります。
反対に、G線では傾き加減を増やし多めに傾けることで、それを感じることができるようになります。4弦に渡って頻繁に弓が行き来するような移弦を伴うパッセージを演奏するときは、これらの中間をとって中庸程度の傾き具合をイメージすると無理なく演奏できると思います。
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