演奏者と聴衆の聴こえる音の乖離
顎で挟むようにして構えるヴァイオリンは、耳の近くで音が鳴るがゆえに演奏する上での難しさがあります。
そもそも私たちが認識する音は「空気の振動」ですが、ヴァイオリンなど擦弦楽器の場合、弦の振動が駒・表板を介し魂柱(Sound Post) を経由し、裏板へと届きます。そして、共鳴箱で響きが増長され、f字孔から音が放出されるという仕組みになっています。
どうしても左耳は楽器の表板、f字孔に近い位置になりますので、ダイレクトな「直接音」が聴こえがちです。これがヴァイオリン演奏時に自分が聴こえる音と、聞き手が聴こえる音との乖離を生み出します。
特に初歩のうちは、演奏を録音して聴いてみると自分が実際に弾いているときに聴こえていた演奏とは、ずいぶん異なって聴こえたという経験をされたことはありませんか? これは、直接音を聴き過ぎていることに原因がある場合が多いと感じます。
反響音を客観的に聴くこと
ヴァイオリンの演奏で豊かな音量を得るためには、部屋の響きの存在が不可欠です。
大ホールの後列まで音が飛ぶ演奏が理想ですが、これはホールの反響音の存在があるために可能となっています。楽器の共鳴胴の中で響きが増長されるのと同様に、ホールの中で反響が繰り返されることで豊かな響きが生まれます。良い演奏・良い楽器は、音が耳元ばかりではなく遠くに飛ぶため (遠達性)、より高い演奏効果があるわけです。
弾き手と聴き手の演奏の聴こえ方の差を小さくすることや、豊かで遠くに通る音色で演奏するためには、部屋の響きを介して聴こえる「反響音」 を意識しながら演奏することが大切です。左耳だけではなく、右耳からも反響して鳴っている音を聴きながら演奏するように、一歩引いたような感覚で客観的に演奏を聴きながら演奏できる状態が望ましいと思います。
演奏を録音・録画して確認してみること以外にも、顎当てから少し顎を離して楽器から耳を遠ざけて音を確認することや、同じ部屋であっても反響音は演奏する位置によっても変わります。練習時に少しずつ部屋の中を移動したり、楽器を構える方向を少し変えたりすることで、響き方が変わることを確認しながら、遠くに通る音を意識して演奏されてみることをお勧めいたします。
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ヴァイオリンレッスンについて演奏者と聴衆の聴こえる音の乖離
顎で挟むようにして構えるヴァイオリンは、耳の近くで音が鳴るがゆえに演奏する上での難しさがあります。
そもそも私たちが認識する音は「空気の振動」ですが、ヴァイオリンなど擦弦楽器の場合、弦の振動が駒・表板を介し魂柱(Sound Post) を経由し、裏板へと届きます。そして、共鳴箱で響きが増長され、f字孔から音が放出されるという仕組みになっています。
どうしても左耳は楽器の表板、f字孔に近い位置になりますので、ダイレクトな「直接音」が聴こえがちです。これがヴァイオリン演奏時に自分が聴こえる音と、聞き手が聴こえる音との乖離を生み出します。
特に初歩のうちは、演奏を録音して聴いてみると自分が実際に弾いているときに聴こえていた演奏とは、ずいぶん異なって聴こえたという経験をされたことはありませんか? これは、直接音を聴き過ぎていることに原因がある場合が多いと感じます。
反響音を客観的に聴くこと
ヴァイオリンの演奏で豊かな音量を得るためには、部屋の響きの存在が不可欠です。
大ホールの後列まで音が飛ぶ演奏が理想ですが、これはホールの反響音の存在があるために可能となっています。楽器の共鳴胴の中で響きが増長されるのと同様に、ホールの中で反響が繰り返されることで豊かな響きが生まれます。良い演奏・良い楽器は、音が耳元ばかりではなく遠くに飛ぶため (遠達性)、より高い演奏効果があるわけです。
弾き手と聴き手の演奏の聴こえ方の差を小さくすることや、豊かで遠くに通る音色で演奏するためには、部屋の響きを介して聴こえる「反響音」 を意識しながら演奏することが大切です。左耳だけではなく、右耳からも反響して鳴っている音を聴きながら演奏するように、一歩引いたような感覚で客観的に演奏を聴きながら演奏できる状態が望ましいと思います。
演奏を録音・録画して確認してみること以外にも、顎当てから少し顎を離して楽器から耳を遠ざけて音を確認することや、同じ部屋であっても反響音は演奏する位置によっても変わります。練習時に少しずつ部屋の中を移動したり、楽器を構える方向を少し変えたりすることで、響き方が変わることを確認しながら、遠くに通る音を意識して演奏されてみることをお勧めいたします。
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