ヴァイオリン肩当てのレビュー

ヴァイオリン演奏時に楽器の構えの補助的な役割で用いられる「肩当て」。

プラスチック製から木製カーボン素材のものまで、形状はブリッジ型クッション型、はたまた布など各々の好みの素材を輪ゴムで留めたお手製のものまで、ヴァイオリン奏者のこだわりが表れる部分ですね。

音質的には何も振動を阻害しない、肩当て未装着の状態が最も好ましいと思います。しかし、楽器を安定的に保持して長時間の演奏に耐えうるためには、現代では必要不可欠なアイテムと言ってよいのではないでしょうか?

ヴァイオリン肩当てのレビュー

上からKUM Bravo、Pirastoro KorfkerRest、Mach One、左はMagic Pad

ブリッジタイプ

KUN

ブリッジ型の肩当てではカナダのKUM(クン)社の製品が最も一般的です。

ヴァリエーションとしては、プラスチック製・木製があります。プラスチック製のものは「KUN Original」、木製のものは「KUN Bravo」の銘柄が有名と思います。

KUN Originalは低価格で、軽くて柔軟性もあり扱いやすい肩当てです。装着や位置の調節も容易なので、始めての方にはよくお勧めしています。音色的には音抜けの面で気になる所もありますが、大きなデメリットは感じられず、よい肩当てと思います。※写真に含まれていません。

KUN Bravoは真鍮製の脚で重さもあり、メープル(楓)素材ですのでヴァイオリン裏板と同じ材質。音の振動・伝達的には違和感が少ないよう感じます。重さは最も重い部類ですので、奏者との相性もありますが、私はこちらの肩当てをいつも使っています。音色的にクリアになり、楽器との相性も合えばとても使いやすい肩当てと思います。

その他KUN社以外のブリッジ型では、Pirastro(ピラストロ)社とMach One(マッハワン)、PEDI(ペディ)社が特徴的な製品を販売しています。

PIRASTRO

ドイツの老舗弦メーカー、PIRASTRO(ピラストロ)社の KorfkerRest(コルフカーレスト)は、軽量で肩当てを使用していない時に近い 、 演奏感と音色が魅力です。楽器の保持性は特に高く、板の部分は自由に曲げて形状を整えることができるので、フィット感を自在に調節することができます。

価格は高いですが、周りの奏者でも使用している人が増えてきた印象があります。私の楽器との相性はナイロン弦(エヴァピラッツィ・ゴールド)を張っているときは今ひとつですが、ガット弦を張った時には相性が合うので、バロックの曲などを弾くときにはいつも使用しています。

Mach One

Mach One(マッハワン)には、材質によってアッシュ・メープル、また形状にもオリジナルモデルに加えて、With Hookモデルという先端がせりあがったものがあります。

音の抜けはよく、輝かしく艶のある音色はヴァイオリンとの相性が合えば、演奏効果も抜群と思います。コルフカーレストに似た演奏感・音色ですが、形状がこちらのマッハワン肩当ての方がやや特殊で、構え方によっては弾きづらさを感じる場合もあるかもしれません。

PEDI

PEDI社のElegante (ペディ・エレガンテ)は、カーボン素材にチタニウム脚と先鋭的な素材の肩当てです。形状は最もオーソドックスで、多くの人が構え易いと感じると思います。

コルフカーレストとマッハワンに比べると、やや無機質な(木製ではないからでしょうか?)色で言えば単色のイメージを感じる音色です。扱いやすく音の抜けがよい肩当てですので、奏法・楽器との相性が合えば長い期間使用できる、耐久性の面でも優れた肩当てと思います。※写真に含まれていません。

クッションタイプ

ブリッジ型のものに対して、厚みの薄いクッションタイプの肩当ては、肩当て未装着の時と演奏姿勢・構え方が近い状態になります。手の届きにくいお子さんやヴィブラートをかけやすくされたいという方にはお勧めできる肩当てです。

Magic Pad

Magic Pad(マジックパッド)がクッションタイプの代表的な肩当てです。価格も手ごろで丸型のもの、可愛らしいクジラやアヒルの形のヴァリエーションがあります。丸型は直径が7cmと9cmの2パターンありますので、未就学のお子さんは7cm、小学生から大人の方は9cmを目安に使い分けても良いと思います。

裏板にぴったりと一体になりますので、ブリッジタイプの肩当てよりもヴィブラートをかけたときの安定性は抜群です。顎で挟み過ぎてしまうデメリットもあると思いますが、ブリッジタイプで望ましい音色や構え・奏法に近づかない方は、ぜひ試されてみてはと思います。

拡声増幅器としてのヴァイオリン

ブリッジタイプ、クッションタイプに分けて、特徴的でよく用いられる肩当てをご紹介しました。
ヴァイオリンは部分の振動を全体に伝えることで「拡張増幅器」として豊かな音色を生み出す、物理的に理にかなった構造の楽器です。肩当て・顎当てだけでなく、もっと小さなアジャスターやテールコードなどのパーツでさえ音色や弾き心地に影響を与えるのは、不思議で神秘的とも言われることもあります。

あまりにこだわりすぎて音楽の本質、作曲家の残した偉大な作品を再現するという部分が見えなくなっては大変ですが、細かなカスタマイズで音色の変化を求める探求心は、楽器への愛着にもつながると思います。

こちらのコラムをご参考に、ぜひいろいろと試されるきっかけになりましたら幸いです。

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プラスチック製から木製カーボン素材のものまで、形状はブリッジ型クッション型、はたまた布など各々の好みの素材を輪ゴムで留めたお手製のものまで、ヴァイオリン奏者のこだわりが表れる部分ですね。

音質的には何も振動を阻害しない、肩当て未装着の状態が最も好ましいと思います。しかし、楽器を安定的に保持して長時間の演奏に耐えうるためには、現代では必要不可欠なアイテムと言ってよいのではないでしょうか?

ヴァイオリン肩当てのレビュー

上からKUM Bravo、Pirastoro KorfkerRest、Mach One、左はMagic Pad

ブリッジタイプ

KUN

ブリッジ型の肩当てではカナダのKUM(クン)社の製品が最も一般的です。

ヴァリエーションとしては、プラスチック製・木製があります。プラスチック製のものは「KUN Original」、木製のものは「KUN Bravo」の銘柄が有名と思います。

KUN Originalは低価格で、軽くて柔軟性もあり扱いやすい肩当てです。装着や位置の調節も容易なので、始めての方にはよくお勧めしています。音色的には音抜けの面で気になる所もありますが、大きなデメリットは感じられず、よい肩当てと思います。※写真に含まれていません。

KUN Bravoは真鍮製の脚で重さもあり、メープル(楓)素材ですのでヴァイオリン裏板と同じ材質。音の振動・伝達的には違和感が少ないよう感じます。重さは最も重い部類ですので、奏者との相性もありますが、私はこちらの肩当てをいつも使っています。音色的にクリアになり、楽器との相性も合えばとても使いやすい肩当てと思います。

その他KUN社以外のブリッジ型では、Pirastro(ピラストロ)社とMach One(マッハワン)、PEDI(ペディ)社が特徴的な製品を販売しています。

PIRASTRO

ドイツの老舗弦メーカー、PIRASTRO(ピラストロ)社の KorfkerRest(コルフカーレスト)は、軽量で肩当てを使用していない時に近い 、 演奏感と音色が魅力です。楽器の保持性は特に高く、板の部分は自由に曲げて形状を整えることができるので、フィット感を自在に調節することができます。

価格は高いですが、周りの奏者でも使用している人が増えてきた印象があります。私の楽器との相性はナイロン弦(エヴァピラッツィ・ゴールド)を張っているときは今ひとつですが、ガット弦を張った時には相性が合うので、バロックの曲などを弾くときにはいつも使用しています。

Mach One

Mach One(マッハワン)には、材質によってアッシュ・メープル、また形状にもオリジナルモデルに加えて、With Hookモデルという先端がせりあがったものがあります。

音の抜けはよく、輝かしく艶のある音色はヴァイオリンとの相性が合えば、演奏効果も抜群と思います。コルフカーレストに似た演奏感・音色ですが、形状がこちらのマッハワン肩当ての方がやや特殊で、構え方によっては弾きづらさを感じる場合もあるかもしれません。

PEDI

PEDI社のElegante (ペディ・エレガンテ)は、カーボン素材にチタニウム脚と先鋭的な素材の肩当てです。形状は最もオーソドックスで、多くの人が構え易いと感じると思います。

コルフカーレストとマッハワンに比べると、やや無機質な(木製ではないからでしょうか?)色で言えば単色のイメージを感じる音色です。扱いやすく音の抜けがよい肩当てですので、奏法・楽器との相性が合えば長い期間使用できる、耐久性の面でも優れた肩当てと思います。※写真に含まれていません。

クッションタイプ

ブリッジ型のものに対して、厚みの薄いクッションタイプの肩当ては、肩当て未装着の時と演奏姿勢・構え方が近い状態になります。手の届きにくいお子さんやヴィブラートをかけやすくされたいという方にはお勧めできる肩当てです。

Magic Pad

Magic Pad(マジックパッド)がクッションタイプの代表的な肩当てです。価格も手ごろで丸型のもの、可愛らしいクジラやアヒルの形のヴァリエーションがあります。丸型は直径が7cmと9cmの2パターンありますので、未就学のお子さんは7cm、小学生から大人の方は9cmを目安に使い分けても良いと思います。

裏板にぴったりと一体になりますので、ブリッジタイプの肩当てよりもヴィブラートをかけたときの安定性は抜群です。顎で挟み過ぎてしまうデメリットもあると思いますが、ブリッジタイプで望ましい音色や構え・奏法に近づかない方は、ぜひ試されてみてはと思います。

拡声増幅器としてのヴァイオリン

ブリッジタイプ、クッションタイプに分けて、特徴的でよく用いられる肩当てをご紹介しました。
ヴァイオリンは部分の振動を全体に伝えることで「拡張増幅器」として豊かな音色を生み出す、物理的に理にかなった構造の楽器です。肩当て・顎当てだけでなく、もっと小さなアジャスターやテールコードなどのパーツでさえ音色や弾き心地に影響を与えるのは、不思議で神秘的とも言われることもあります。

あまりにこだわりすぎて音楽の本質、作曲家の残した偉大な作品を再現するという部分が見えなくなっては大変ですが、細かなカスタマイズで音色の変化を求める探求心は、楽器への愛着にもつながると思います。

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2023年05月14日