左手 -指の配置と圧力-

左手全体のフォーム

ヴァイオリンの演奏において様々なパッセージ、特に速いテンポで複雑な音の並びの部分を演奏する際には、左指が柔軟性を持った状態で敏捷に動かす技術が大切になってきます。

左手の配置・手全体のフォームは、各指が正しい音程を正確に押さえ、かつ素早い動きを実現するために、手の大きさや指の長さを考慮する必要があります。

手自体が大きいまたは指の長さが十分な場合は、4の指 (小指) が容易に届きやすい位置関係で構えることができやすくなります。手のひらを体の中心軸から開いた外向きのフォームが自然です。反対に、手が小さかったり指の長さがあまり長くないような場合は、手のひら全体が体の軸から閉じた形内向き)に構えるフォームが望ましい状態となります。

別の観点から言えば、前者は1の指を基準として押さえやすく、後者は2と3の指の間を基準として、1の指は少しスクロール側へ引っ張って押さえ、4の指は駒の方向へ伸ばす感覚で押さえるという具合になります。

親指の位置についての考え方

また、親指の位置をどの位置に持ってくるかという点も関連性の高い部分です。

歴代の指導者の間では、例えばレオポルド・アウアーは「2の指の向かい」、カール・フレッシュは「1の指の向かい」、イヴァン・ガラミアンは「1と2の指の間の向かい」に置くよう指導していたとされます。

大まかに言えば、手の大きい人1の指の向かいに、反対に小さい人は2の指(あるいは1と2の指の間)の向かいに配置すると、無理なくぱっと指を置いた時にも正しい音程で演奏し易くなります。これは日々の音階練習などから感覚を身につけていき、自分なりの位置を模索していく作業が必要になると感じています。

ポジションや音の並び・和音などに応じて、臨機応変に親指の位置を変えられるような柔軟性も大切です。

親指の対圧との関連性

親指の対圧を弱めることの重要性については、以前の記事でも書かせていただきましたが、他の弦を押さえる人差し指から小指までも同様の考え方で、その押さえる圧力を最小にする努力が必要です。人間の身体はどこか一箇所、一部分にでも力が入り緊張した状態になってしまうと、全身にもその力みは生じてしまいます。

左指のタッチはクリアな発音を目指し、それほど指板 (Finger Board) に強く当たるほどの圧力で押さえる必要はないと考えます。手首、上腕などの柔軟性が保たれる状態を確認しながら、指の圧力がどの程度であるべきかを考えていくのが理想的と思います。

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ヴァイオリンの演奏において様々なパッセージ、特に速いテンポで複雑な音の並びの部分を演奏する際には、左指が柔軟性を持った状態で敏捷に動かす技術が大切になってきます。

左手の配置・手全体のフォームは、各指が正しい音程を正確に押さえ、かつ素早い動きを実現するために、手の大きさや指の長さを考慮する必要があります。

手自体が大きいまたは指の長さが十分な場合は、4の指 (小指) が容易に届きやすい位置関係で構えることができやすくなります。手のひらを体の中心軸から開いた外向きのフォームが自然です。反対に、手が小さかったり指の長さがあまり長くないような場合は、手のひら全体が体の軸から閉じた形内向き)に構えるフォームが望ましい状態となります。

別の観点から言えば、前者は1の指を基準として押さえやすく、後者は2と3の指の間を基準として、1の指は少しスクロール側へ引っ張って押さえ、4の指は駒の方向へ伸ばす感覚で押さえるという具合になります。

親指の位置についての考え方

また、親指の位置をどの位置に持ってくるかという点も関連性の高い部分です。

歴代の指導者の間では、例えばレオポルド・アウアーは「2の指の向かい」、カール・フレッシュは「1の指の向かい」、イヴァン・ガラミアンは「1と2の指の間の向かい」に置くよう指導していたとされます。

大まかに言えば、手の大きい人1の指の向かいに、反対に小さい人は2の指(あるいは1と2の指の間)の向かいに配置すると、無理なくぱっと指を置いた時にも正しい音程で演奏し易くなります。これは日々の音階練習などから感覚を身につけていき、自分なりの位置を模索していく作業が必要になると感じています。

ポジションや音の並び・和音などに応じて、臨機応変に親指の位置を変えられるような柔軟性も大切です。

親指の対圧との関連性

親指の対圧を弱めることの重要性については、以前の記事でも書かせていただきましたが、他の弦を押さえる人差し指から小指までも同様の考え方で、その押さえる圧力を最小にする努力が必要です。人間の身体はどこか一箇所、一部分にでも力が入り緊張した状態になってしまうと、全身にもその力みは生じてしまいます。

左指のタッチはクリアな発音を目指し、それほど指板 (Finger Board) に強く当たるほどの圧力で押さえる必要はないと考えます。手首、上腕などの柔軟性が保たれる状態を確認しながら、指の圧力がどの程度であるべきかを考えていくのが理想的と思います。

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2022年12月29日