今回のコラムは、2台ピアノの名曲をご紹介していきます。
楽器の王様と称されるピアノはオーケストラの全ての音域が出せるため、ダイナミックな演奏も可能です。さらに、2台のピアノで演奏すると、迫力や華やかさが倍増!
そこで、ぜひ演奏したいおすすめの2台ピアノ曲をピックアップしました。
モーツァルト【2台のピアノのためのソナタニ長調K.448】
『のだめカンタービレ』でもおなじみ「2台のピアノのためのソナタニ長調」は、モーツァルトが25歳の時にウィーンで作曲した作品です。
【第1楽章】Allegro cоn spirit・ニ長調4/4拍子
冒頭の3オクターブにわたるユニゾンの第1主題から、カノン形式で進む第2主題。2台のピアノが掛け合いながら軽快に進み、提示部を締めます。
展開部は比較的短い主題から始まり、オクターブによる旋律とリズミカルな掛け合いに発展し再現部に入ります。
再現部は古典のソナタ形式に沿った忠実な構成と思いきや、コーダで展開部の主題が現れるというモーツァルトらしさで第1楽章を閉じます。
【第2楽章】Andante・ト長調3/4拍子
モーツァルトのピアノソナタにおいて、典型的なスタイルと言える第2楽章。第1ピアノが主題を弾き、第2ピアノは伴奏的な役割を担っています。
第2主題はシンプルですが、装飾音符やリズムの変化など変奏曲風な構成です。再現部以降は、カデンツァ風のコーダを経て静かに終わります。
【第3楽章】Molt Allegro・ニ長調2/4拍子
ロンド形式の第3楽章は、トルコ行進曲を彷彿とさせる第1主題で始まります。和音やアルペジオの伴奏にのせて展開し、イ短調の第2主題に繋げていきます。
第3主題はイ長調のコラール風な旋律。2台ピアノの軽快な掛け合いを経て再び第1主題が登場します。ト長調・ニ短調へ転調しながら、ニ長調に戻りコーダに突入。
華やかなコーダを経て、最後は躍動感のあるユニゾンで曲を締めくくります。
ブラームス【ハイドンの主題による変奏曲】
ドイツの作曲家、ヨハネス・ブラームスが作曲した「ハイドンの主題による変奏曲」は、2台ピアノ版の他に、管弦楽版も残されています。
テーマとコーダ、8つの変奏曲からなり、古典的な音楽形式と作曲技法によって構成され、各変奏曲も形式的に作られています。
テーマは変ロ長調。Andanteのコラール風で、10小節単位の楽曲構成になっています。第1変奏からは変ロ長調と変ロ短調が交互に現れ、対位法的な進行やのびやかな旋律を奏でます。
第5・6変奏は、スケルツォ風のリズミカルなメロディがvivaceのテンポにのせて登場し、第7変奏の哀愁漂う旋律と対照的。第8変奏は変ロ短調、軽快でありながら不安定な響きでコーダに続きます。
コーダは変ロ長調のパッサカリア。コラール風のテーマが繰り返し現れクライマックスを迎えます。
ラフマニノフ【2台のピアノのための組曲 作品17】
ロシア出身の作曲家、セルゲイ・ラフマニノフの作品「2台のピアノのための組曲」は、有名な「ピアノ協奏曲第2番」と同じ時期に完成したと伝えられています。
全4曲からなる組曲で、抜粋して演奏されることも多いです。
【第1曲序奏】ハ長調・2/2拍子
【第2曲ワルツ】ト長調・3/4拍子
【第3曲ロマンス】変イ長調・6/8拍子
【第4曲タランテラ】ハ短調・6/8拍子
チャイコフスキー【組曲くるみ割り人形~2台ピアノ編~】
ロシア出身のピョートル・チャイコフスキーがバレエ音楽として作曲した「くるみ割り人形」は、2台ピアノでも演奏される機会があります。
全8曲からなる組曲で、一度は聞いたことがあるような親しみやすいメロディが印象的な「行進曲」や「花のワルツ」「トレパック」が有名。
【第1曲小序曲】変ロ長調・2/4拍子
【第2曲行進曲】ト長調・4/4拍子
【第3曲金平糖の踊り】ホ短調・2/4拍子
【第4曲トレパック】ト長調・2/4拍子
【第5曲アラビアの踊り】ト短調・3/8拍子
【第6曲中国の踊り】変ロ長調・4/4拍子
【第7曲葦笛の踊り】ニ長調・2/4拍子
【第8曲花のワルツ】ニ長調・3/4拍子
ルトスワフスキ【パガニーニの主題による変奏曲】
ポーランドの作曲家ヴィトルト・ルトスワフスキが、1941年に作曲した「パガニーニの主題による変奏曲」。パガニーニ作曲「ヴァイオリンのための24のカプリス」の終曲をモチーフにした2台ピアノのための作品です。
ちなみに、ブラームス・ベルコヴィッチ・ラフマニノフ・リストなど多くの作曲家が、「パガニーニの主題による変奏曲」を残しています。
テーマに続き12の変奏曲からなる「パガニーニの主題による変奏曲」は、原曲に忠実かと思いきや躍動的で現代音楽に通じる要素があります。
スピード感のある2台ピアノの掛け合いは、テクニックを競い合うかのようなスリリングな展開。一方で、音が寄り添うように響き合う緩徐的な旋律も聴きどころの一つです。
終盤は再び疾走感のあるテンポが戻り、グリッサンドやトレモロなどの超絶技巧で盛り上げ、決然と曲を締めくくります。
まとめ
今回の記事では、2台ピアノのおすすめの楽曲をご紹介してきました。2台ピアノの作品はオーケストラを聴いているような迫力で、ソロ曲とは違う魅力がありますね。
ぜひ、お気に入りの1曲を見つけてください!
2023年8月31日 投稿
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モーツァルト【2台のピアノのためのソナタニ長調K.448】
『のだめカンタービレ』でもおなじみ「2台のピアノのためのソナタニ長調」は、モーツァルトが25歳の時にウィーンで作曲した作品です。
【第1楽章】Allegro cоn spirit・ニ長調4/4拍子
冒頭の3オクターブにわたるユニゾンの第1主題から、カノン形式で進む第2主題。2台のピアノが掛け合いながら軽快に進み、提示部を締めます。
展開部は比較的短い主題から始まり、オクターブによる旋律とリズミカルな掛け合いに発展し再現部に入ります。
再現部は古典のソナタ形式に沿った忠実な構成と思いきや、コーダで展開部の主題が現れるというモーツァルトらしさで第1楽章を閉じます。
【第2楽章】Andante・ト長調3/4拍子
モーツァルトのピアノソナタにおいて、典型的なスタイルと言える第2楽章。第1ピアノが主題を弾き、第2ピアノは伴奏的な役割を担っています。
第2主題はシンプルですが、装飾音符やリズムの変化など変奏曲風な構成です。再現部以降は、カデンツァ風のコーダを経て静かに終わります。
【第3楽章】Molt Allegro・ニ長調2/4拍子
ロンド形式の第3楽章は、トルコ行進曲を彷彿とさせる第1主題で始まります。和音やアルペジオの伴奏にのせて展開し、イ短調の第2主題に繋げていきます。
第3主題はイ長調のコラール風な旋律。2台ピアノの軽快な掛け合いを経て再び第1主題が登場します。ト長調・ニ短調へ転調しながら、ニ長調に戻りコーダに突入。
華やかなコーダを経て、最後は躍動感のあるユニゾンで曲を締めくくります。
ブラームス【ハイドンの主題による変奏曲】
ドイツの作曲家、ヨハネス・ブラームスが作曲した「ハイドンの主題による変奏曲」は、2台ピアノ版の他に、管弦楽版も残されています。
テーマとコーダ、8つの変奏曲からなり、古典的な音楽形式と作曲技法によって構成され、各変奏曲も形式的に作られています。
テーマは変ロ長調。Andanteのコラール風で、10小節単位の楽曲構成になっています。第1変奏からは変ロ長調と変ロ短調が交互に現れ、対位法的な進行やのびやかな旋律を奏でます。
第5・6変奏は、スケルツォ風のリズミカルなメロディがvivaceのテンポにのせて登場し、第7変奏の哀愁漂う旋律と対照的。第8変奏は変ロ短調、軽快でありながら不安定な響きでコーダに続きます。
コーダは変ロ長調のパッサカリア。コラール風のテーマが繰り返し現れクライマックスを迎えます。
ラフマニノフ【2台のピアノのための組曲 作品17】
ロシア出身の作曲家、セルゲイ・ラフマニノフの作品「2台のピアノのための組曲」は、有名な「ピアノ協奏曲第2番」と同じ時期に完成したと伝えられています。
全4曲からなる組曲で、抜粋して演奏されることも多いです。
【第1曲序奏】ハ長調・2/2拍子
【第2曲ワルツ】ト長調・3/4拍子
【第3曲ロマンス】変イ長調・6/8拍子
【第4曲タランテラ】ハ短調・6/8拍子
チャイコフスキー【組曲くるみ割り人形~2台ピアノ編~】
ロシア出身のピョートル・チャイコフスキーがバレエ音楽として作曲した「くるみ割り人形」は、2台ピアノでも演奏される機会があります。
全8曲からなる組曲で、一度は聞いたことがあるような親しみやすいメロディが印象的な「行進曲」や「花のワルツ」「トレパック」が有名。
【第1曲小序曲】変ロ長調・2/4拍子
【第2曲行進曲】ト長調・4/4拍子
【第3曲金平糖の踊り】ホ短調・2/4拍子
【第4曲トレパック】ト長調・2/4拍子
【第5曲アラビアの踊り】ト短調・3/8拍子
【第6曲中国の踊り】変ロ長調・4/4拍子
【第7曲葦笛の踊り】ニ長調・2/4拍子
【第8曲花のワルツ】ニ長調・3/4拍子
ルトスワフスキ【パガニーニの主題による変奏曲】
ポーランドの作曲家ヴィトルト・ルトスワフスキが、1941年に作曲した「パガニーニの主題による変奏曲」。パガニーニ作曲「ヴァイオリンのための24のカプリス」の終曲をモチーフにした2台ピアノのための作品です。
ちなみに、ブラームス・ベルコヴィッチ・ラフマニノフ・リストなど多くの作曲家が、「パガニーニの主題による変奏曲」を残しています。
テーマに続き12の変奏曲からなる「パガニーニの主題による変奏曲」は、原曲に忠実かと思いきや躍動的で現代音楽に通じる要素があります。
スピード感のある2台ピアノの掛け合いは、テクニックを競い合うかのようなスリリングな展開。一方で、音が寄り添うように響き合う緩徐的な旋律も聴きどころの一つです。
終盤は再び疾走感のあるテンポが戻り、グリッサンドやトレモロなどの超絶技巧で盛り上げ、決然と曲を締めくくります。
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2023年8月31日 投稿
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