知っておきたいヴァイオリン名曲①

人の声に近い音色を持つと言われるヴァイオリン。オペラのアリアを彷彿させる歌声のように色彩豊かな音色は、いつの時代も作曲家たちの創作意欲をかき立ててきました。

今回のコラムでは、3回に分けて学習曲の目安順に、演奏のポイントを記しながら「知っておきたいヴァイオリンの名曲」と題してご紹介してまいりたいと思います。

バロック期から古典・ロマン派、近現代まで。さまざまな国で種々の作曲背景を持って書かれた名曲、愛聴される機会の多い曲から、ヴァイオリンを学んでいる方ならどこかで出会うなじみ深い曲まで取り上げていきます。

ウェーバー「狩人の合唱」

ドイツ・オペラの立役者ウェーバーが作曲した歌劇「魔弾の射手」第3幕で流れるコーラスです。ヴァイオリン用に編曲されたこの曲は、4/4拍子、A-dur(イ長調)。軽快に楽しく弾けば、気分はオペラ合唱団の一員

フレーズの始まり、アップボウ(上げ弓)は次の音に向かうエネルギーを持って、中間部以降、e(ミ)の音がリズムを変えて繰り返される所や、e-d-h(ミ-レ-シ)が4回する連続する箇所では、抑揚たっぷりに楽器を響かせてみてください。発表会でも聴き映えがする人気曲です。

ハンガリー民謡「マジャールの踊り」

異国情緒あふれるこの曲は、バルトークやコダーイといった近現代を代表する作曲家らが活躍したハンガリーの民謡。どこか中国やアジアの音楽を彷彿させるメロディーではありませんか?マジャールは、ウラル山脈から移住してきた騎馬民族、モンゴル系ハンガリアンという説があります。こういった歴史の面から音楽を見ていくと、また違ったインスピレーションが湧くかもしれませんね。

冒頭からアクセント(音を強調して際立たせる)、スタッカート(音を短く切る)が交互に出てきます。右手と左手のバランスを保ちつつ、弓のスピード・配分にも意識しましょう。

中間部Trioにはどのようなイメージを持たれるでしょうか?随分と雰囲気が変わってきました。場面転換のポイントになる要所ですね。D.C.(ダ・カーポ:はじめに戻る)の手前、和音が続く所も、音楽のエネルギーの流れを想像しながら演奏すれば、冒頭主題により効果的に回帰することができます。

最後はFine(フィーネ:曲の終わり)に向けて抑揚・テンションを保ちながら、一気に駆け抜けましょう。

ザイツ「コンチェルト 第2番」

ドイツ・ロマン派の作曲家、フリードリヒ・ザイツはヴァイオリニストでもありました。「スチューデント・コンチェルト」とも言われるこちらの曲は、8曲ある彼の学習者のための協奏曲の第2曲です。G-dur(ト長調)は、ヴァイオリン開放弦の最低音、オープンG(開放弦・ソの音)の調性ですね。弾けば弾くほど楽器がどんどん鳴ってくると感じませんか?

第1楽章にはカデンツァが設けられています。オーケストラをバックにしながら、ここだけは無伴奏で、独奏者が自由な強弱・テンポ感にてアドリブ(即興的)で奏でます。もちろん楽譜は用意されているので、そちらの通りで大丈夫です。a-g-fis-e(ラ-ソ-ファ♯-ミ)が4回続く所は、高い所から急降下するようにだんだん速く、その後のritard.(リタルダンド)は落ち着きを持ちながらフレーズを収めると、コントラストが明確です。

第2楽章Adagio(アダージョ)では、h-moll(ロ短調)に転調しています。sostenuto部分は丁寧に重みをもって奏でましょう。agitato, stringendo(せきこんでだんだん速く)はエネルギーがピークに達する前の段階、次のf(フォルテ)h-fis(シ-ファ♯)の移行に向かうように弾いてみてはいかがでしょうか?第2楽章は協奏曲のゆったりとしたテンポ感を持つ「緩徐楽章」。あまり情熱的になりすぎずに、内に留めておく冷静さも大切ですね。

第3楽章は、冒頭8分音符スラー・スタッカートの小粋なリズムが特徴的です。どこかおどけたような、小さな子が楽しくに遊んでいるようにも聴こえる可愛らしい旋律ですね。後半フィナーレ、brillante(輝かしく)の部分では、16分音符スタッカートでp(ピアノ:弱く)~ff(フォルティシモ:きわめて強く)まで、激しく音量を変えていきます。直後のrisolute(決然と)でエネルギーが頂点に。その後、冒頭主題が再現されて落ち着きをみせますが、最後は間髪入れずにffでG-durIの和音、オープンGのロングトーンで華やかに締めくくります。

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人の声に近い音色を持つと言われるヴァイオリン。オペラのアリアを彷彿させる歌声のように色彩豊かな音色は、いつの時代も作曲家たちの創作意欲をかき立ててきました。

今回のコラムでは、3回に分けて学習曲の目安順に、演奏のポイントを記しながら「知っておきたいヴァイオリンの名曲」と題してご紹介してまいりたいと思います。

バロック期から古典・ロマン派、近現代まで。さまざまな国で種々の作曲背景を持って書かれた名曲、愛聴される機会の多い曲から、ヴァイオリンを学んでいる方ならどこかで出会うなじみ深い曲まで取り上げていきます。

ウェーバー「狩人の合唱」

ドイツ・オペラの立役者ウェーバーが作曲した歌劇「魔弾の射手」第3幕で流れるコーラスです。ヴァイオリン用に編曲されたこの曲は、4/4拍子、A-dur(イ長調)。軽快に楽しく弾けば、気分はオペラ合唱団の一員!

フレーズの始まり、アップボウ(上げ弓)は次の音に向かうエネルギーを持って、中間部以降、e(ミ)の音がリズムを変えて繰り返される所や、e-d-h(ミ-レ-シ)が4回する連続する箇所では、抑揚たっぷりに楽器を響かせてみてください。発表会でも聴き映えがする人気曲です。

ハンガリー民謡「マジャールの踊り」

異国情緒あふれるこの曲は、バルトークやコダーイといった近現代を代表する作曲家らが活躍したハンガリーの民謡。どこか中国やアジアの音楽を彷彿させるメロディーではありませんか?マジャールは、ウラル山脈から移住してきた騎馬民族、モンゴル系ハンガリアンという説があります。こういった歴史の面から音楽を見ていくと、また違ったインスピレーションが湧くかもしれませんね。

冒頭からアクセント(音を強調して際立たせる)、スタッカート(音を短く切る)が交互に出てきます。右手と左手のバランスを保ちつつ、弓のスピード・配分にも意識しましょう。

中間部Trioにはどのようなイメージを持たれるでしょうか?随分と雰囲気が変わってきました。場面転換のポイントになる要所ですね。D.C.(ダ・カーポ:はじめに戻る)の手前、和音が続く所も、音楽のエネルギーの流れを想像しながら演奏すれば、冒頭主題により効果的に回帰することができます。

最後はFine(フィーネ:曲の終わり)に向けて抑揚・テンションを保ちながら、一気に駆け抜けましょう。

ザイツ「コンチェルト 第2番」

ドイツ・ロマン派の作曲家、フリードリヒ・ザイツはヴァイオリニストでもありました。「スチューデント・コンチェルト」とも言われるこちらの曲は、8曲ある彼の学習者のための協奏曲の第2曲です。G-dur(ト長調)は、ヴァイオリン開放弦の最低音、オープンG(開放弦・ソの音)の調性ですね。弾けば弾くほど楽器がどんどん鳴ってくると感じませんか?

第1楽章にはカデンツァが設けられています。オーケストラをバックにしながら、ここだけは無伴奏で、独奏者が自由な強弱・テンポ感にてアドリブ(即興的)で奏でます。もちろん楽譜は用意されているので、そちらの通りで大丈夫です。a-g-fis-e(ラ-ソ-ファ♯-ミ)が4回続く所は、高い所から急降下するようにだんだん速く、その後のritard.(リタルダンド)は落ち着きを持ちながらフレーズを収めると、コントラストが明確です。

第2楽章Adagio(アダージョ)では、h-moll(ロ短調)に転調しています。sostenuto部分は丁寧に重みをもって奏でましょう。agitato, stringendo(せきこんでだんだん速く)はエネルギーがピークに達する前の段階、次のf(フォルテ)h-fis(シ-ファ♯)の移行に向かうように弾いてみてはいかがでしょうか?第2楽章は協奏曲のゆったりとしたテンポ感を持つ「緩徐楽章」。あまり情熱的になりすぎずに、内に留めておく冷静さも大切ですね。

第3楽章は、冒頭8分音符スラー・スタッカートの小粋なリズムが特徴的です。どこかおどけたような、小さな子が楽しくに遊んでいるようにも聴こえる可愛らしい旋律ですね。後半フィナーレ、brillante(輝かしく)の部分では、16分音符スタッカートでp(ピアノ:弱く)~ff(フォルティシモ:きわめて強く)まで、激しく音量を変えていきます。直後のrisolute(決然と)でエネルギーが頂点に。その後、冒頭主題が再現されて落ち着きをみせますが、最後は間髪入れずにffでG-durIの和音、オープンGのロングトーンで華やかに締めくくります。

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2023年05月19日